認知症介護には、パーソンセンタードケアやユマニチュードケア等いろいろな手法がありますが、私達は手法よりも一人の人間として感性を磨くことが一番大切であると考えています。
認知症の方は、自分で食事をして、自分のベッドで寝て、自分でトイレに行き、常識ある人と同じように規範を守りたいのです。しかし、過去や未来の時間軸が不明となり、自分の部屋がどこか、トイレがどこかわからなくなり、自分が自分であることを確認、実感できなくなっています。
自分との関係を取り戻す最大の契機は、「人」だと思います。
行動指針にある「ご利用者や職員を含め関係する全ての人々に何ができるかを考え行動を積み上げる」ことは、職員自身とご利用者や他の職員との間にある垣根を下げます。次第に、同じ一人の人間として相手の気持ちを共有できる関係性に発展します。そして、介護される側と介護する側という別々の関係性が消滅し、一つになるのです。
それが進むと、毎日を一緒に過ごしているご利用者や職員全員の意識が完全に調和し、その場にいる全ての人々の関係性が飛躍的に向上することを私達は知っています。
その時、ご利用者は毎日を安心して過ごせるようになり、自分の居場所を見つけ、社会的関係を再構築し、自分との関係を取り戻すことができるのだと思います。
私達は、その場に集まった全ての人々が調和した関係性を常に目指しています。